研究概要 |
半導体電力変換器に対する今後の社会的ニーズの高まりに対応して,小型・軽量化(高パワー密度化)の実現,医療用粒子加速器電源などに代表される超高品質特殊電源の実現,次世代ロボットなどに代表される高速・高精度フィードバック制御系の構成要素として用いる電力変換器の実現などが求められており,その手段として,さらなる高スイッチング周波数化の実現が不可欠との認識が高まっている。さらなる高スイッチング周波数化の実現には,パワーデバイス,実装技術,制御技術が協調関係を保ってコンカレントに確立される必要がある。本研究では,これらの動きを踏まえ,高スイッチング周波数化へ制御技術からアプローチするもので,電力変換器の制御の中核を成す超高速ディジタルPWM(パルス幅変調)制御方式の開発を目指した。前年度である平成17年度の成果としては,制御用プログラマブルデバイスであるFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いたPWM制御系を構築し,現状のインバータに比較して10倍以上のスイッチング周波数である200kHzのスイッチング周波数を実現し,同時の8ビット相当の分解能を実現した。さらに,PWM信号の発生法として,サブハーモニック変調,空間ベクトル変調の双方を適用することが可能な構成とした。また,通常の3相変調に加え,出力に零相成分を重畳することによりスイッチング周波数を低減させることのできる2相変調を適用可能とした。平成18年度は,これらの成果を踏まえ,さらなる高スイッチング周波数化を実現する手段について検討した。具体的には,FPGAの内部クロック周波数の限界により高スイッチング周波数化した際の分解能が低下する問題の解決策として,ノイズシェーパによるディジタル信号処理の導入を検討した。購入したFPGAにより,提案した制御方式を実験装置で実現し,その基本的有効性を明らかにした。これにより,次世代パワーデバイスの適用を念頭に置いたさらなる高スイッチング周波数化に対する実現の見通しが得られた。
|