研究概要 |
1.モルタル有限要素解析のための反復解法に関する検討 モルタル有限要素法の定式化には、Lagrangeの未定乗数法と呼ばれる方法と、領域境界上のスレーブ側未知数を消去する方法の2つがある。両者に関して、クリロフ部分空間法による求解について検討を行った。クリロフ部分空間法の性能は前処理手法に大きく依存するが、最小残差法、共役勾配法のそれぞれについて不完全コレスキー分解をベースとした様々な前処理手法を提案した。スレーブ側未知数を消去する方法を用い、近似係数行列に不完全コレスキー分解を施すことで前処理を構成する手法が計算時間の面から有望であることを示した。 2.代数マルチグリッド法を用いたモルタル有限要素解析 モルタル有限要素解析への応用の準備段階として、電磁界解析で実用的に重要とされる辺要素及び節点要素を用いた解析において優れた収束性を得る代数マルチグリッド前処理付反復解法を提案した。 モルタル有限要素解析において境界上のスレーブ側未知数を消去する方法を扱い、代数マルチグリッド法を共役勾配法の前処理として効率的に適用する手法を提案した。数値例として永久磁石モータを対象とした解析をとりあげ、不完全コレスキー分解をベースとした前処理と比較して大幅な高速化が行われることを示した。また、半周期毎にポテンシャルの符号が反転する境界条件についても問題なく扱うことが出来ることも示した。 3.非線形磁界解析の代数マルチグリッド法による高速化 磁気スカラポテンシャルを未知数とした非線形静磁界解析を行い,共役勾配法の前処理として代数マルチグリッド法を用いることで,不完全コレスキー分解前処理を使用する場合と比較して解析を大幅に高速化することができた。共役勾配法の収束判定基準を緩やかにしたとき,ニュートン・ラフソン法の収束に与える影響は小さく,解析全体を高速化出来ることを示した。
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