研究概要 |
1.バッテリと電気二重層コンデンサを直列にしたシステムのシミュレーションによる検討 提案の回路に対し,シミュレーションによりその制御法を検討し,回路パラメータの設計を行った。この際にキーとなる制御は電気二重層コンデンサのみに接続された電流可逆チョッパ2の電流制御であり,この制御に基づくシステム全体のパワーフロー制御やバッテリ電流の間接制御などを提案した。さらに,シミュレーション結果から,主回路素子やリアクトルの電流定格,インダクタンス値,内部抵抗値等を決定した。リアクトルについては設計した値を基に外部に製作を依頼した。 2.実験回路製作 新たなリアクトルを用いた電流可逆チョッパを1セット追加し,バッテリと電気二重層コンデンサを直列に接続した実験回路を製作した。さらに,1.で述べた制御のプログラムを作成した。 3.実験による動作検証 製作した実験システムをもちいて,シミュレーション結果の検証を行った。本システムでは,1つのDSPシステムで,インバータによるモータ速度および電流の制御,2つの電流可逆チョッパによる直流リンク電圧制御,コンデンサ充放電電流制御を同時に行う必要があるが,このために,制御プログラムの実行時間がかなりシビアになってしまい,シミュレーション通りの結果が得られるには至らなかった。また,サンプリング周期を長くして実行時間に余裕を持たせた場合では,電流や電圧,速度などの制御ゲインがサンプリング周期に応じて変化したため,電流,電圧,速度などの制御が悪化する結果となった。 4.まとめ シミュレーションにより提案システムの特性を明らかにし,この回路方式の有効性を示した。得られた結果により,インダクタや追加する電流可逆チョッパの容量と運転に必要な電力の変化範囲(動作範囲)との関係を明らかにすることができた。この結果,提案システムの回路設計に見通しを立てることができた。 実験システムによるシミュレーション結果の検証では,制御の複雑化によって長くなったサンプリング周期のために,シミュレーション通りの結果が得られるには至らなかった。 今後は,サンプリング周期に余裕を持たせ,このサンプリング周期に合わせたゲインの検討を行った上で,再度,実験による動作確認を進めていく必要があると考える。
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