研究概要 |
本研究は,PMモータ高速運転時に電流可逆チョッパ(昇圧器)付PWMインバータにより高効率化を目指すシステムにおいて,回生エネルギーを効率よく回収するために,バッテリに電気二重層コンデンサを組み合わせる場合の回路方式および制御法について検討したものである。 1.新回路方式1 先に提案したバッテリ,電気二重層コンデンサ並列接続の構成では,コンデンサ直列数,体積,重量,コストが増加する。これに対し,バッテリ,コンデンサを直列にしてコンデンサ直列数を低減した新方式1(回生専用降圧チョッパ,力行専用昇圧チョッパ各1を持つ)を考案したが,コンデンサ電圧を積極的に制御できない欠点があることがわかった。 2.新回路方式2 新回路方式1の欠点を解決するために,2つの電流可逆チョッパを用いた新方式2(バッテリ,コンデンサに対する第1のチョッパに電圧制御を,コンデンサのみに対する第2のチョッパに電流制御を用い,第2のチョッパの電流指令を変えてコンデンサ充放電電流およびシステムの電力の流れを自由に制御)を考案した。 3.各回路方式の比較 並列構成,新回路方式1,2の回路構成について比較し,コンデンサ数,システム制御性の点から,新回路方式2が最も優れていることを示した。 4.新回路方式2の詳細 新回路方式2に対し,システム全体のパワースロー制御やバッテリ電流の間接制御を提案した。また,実験回路および制御プログラムを製作したが,制御の複雑さから制御プログラムの実行時間がかなりシビアになり,実験による動作確認までできなかった。 5.まとめ 電気二重層コンデンサ数を大幅に低減できる新方式1,2を提案し,問題点,有効性を明らかにした。インダクタや電流可逆チョッパの容量と運転電力の変化範囲(御作範囲)との関係も明らかにし,提案システムの回路設計に見通しを持たせた。今後,実験を進め,実機での動作確認を行う予定である。
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