本年度の研究で得られた成果を要約すると、 1.電気学会の標準1機無限大系統モデルを対象に、故障回線除去後の動揺方程式の平衡点解析を行った。そしてAVR・GOVに加える補助制御入力のゲインを決定して、特に入力の位相角偏差をフィードバックして不安定平衡点を消去することができ、角速度偏差をフィードバックして電機子電流を急増させ、PSSと提案法による臨界故障除去時間を比較した結果、かなり改善できることが分かった。 2.角速度偏差のフィードバックでは、界磁電圧をできる限り急速に高めてAVRのリミッタにあたるようにゲインを高く設定するが、それ以上の効果を出すために角速度偏差のフィードバックを非線形とする非線形発電機制御を行った結果、さらに大きく改善できた。 3.新エネルギーを含む分散型電源が急進展しており、標準1機モデルに動的負荷を考慮した場合、平衡点解析に基づく過渡安定度の解析をすすめた結果、提案する非線形発電機制御により不安定平衡点を消去することができ、臨界故障除去時間および送電可能容量をPSSの場合に比較してかなり向上できることが分かった。ただし、動的負荷特性については学会などで発表されている実測値に基づいて、動揺方程式に時間関数として組み込んで解析した。 4.発電機母線および負荷母線での実データに基づいて、標準1機無限大系統モデルの負荷のモデル化を行い、多機モデルへの応用を検討している。 以上により、研究課題の基礎を固めることができ、次年度以降への準備を開始している。
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