1.電気学会の標準1機モデルを対象として、動的負荷を考慮したP-V曲線およびQ-V曲線を電圧、有効電力、無効電力の実測データに基づいて導出し、各負荷に対する感度解析により、例えば定電力負荷の影響を調べ、電圧安定度を解析して電圧不安定現象の発生について検討を行った。特に日本、中国、スウェーデンの各実測データを用いて負荷構成を比較することにより、電圧不安定現象発生のメカニズムを解析することができた。 2.分散型電源が急増しているため、標準1機モデルの動的負荷に分散型電源を考慮して電圧安定度の解析を行い、負荷に混在する分散型電源が系統の過渡安定度および電圧安定度にどのように影響するかを検討した。特に、負荷の急増、分散型電源の投入を考慮して、負荷母線電圧が低下または上昇する場合、上位系統の過渡安定度についてPSSおよび提案する非線形制御器による制御応答を比較した結果、提案する非線形制御器によれば過渡安定度、電圧安定度および送電可能容量(ATC)がかなり向上することが分かった。 3.多機システムを取り扱い、各発電機母線でシステム全体を眺め、動的負荷を考慮した1機1負荷モデルによる非線形分散システムに近似なしに縮約して、多機システムの問題が分散システムの問題に帰着することを示し、同じステップを繰り返すことにより多機システムの非線形分散制御を行えることが分かった。
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