1.背景、目的 三相モータは単相モータに比べて効率が良いため、その利用は省エネルギーに役立つが、三相配線が無い場所では使えない。従って、単相電源で三相回転磁界を有するモータが実現できれば極めて有用である。本研究の目的は、単相電源で三相回転磁界を有するパラメトリックモータの実用化を目指し、パラメトリック発振の安定化手法を巧みに利用し、本モータの高出力化を図ることにある。本研究では主として、固定子内磁化容易軸角度とモータ特性に関する検討、並びに2系統の共振側磁路を独立形状にしたモータの作製・検討を行った。 2.本年の研究によって得られた新たな知見 (1)固定子内の磁化容易軸角度を0°から45°方向に傾けることで、無負荷時における2系統の共振電圧の差が増大し、外側共通磁路の磁束分布が不平衡となるため、この手法がモータの高出力化、高効率化につながることが明らかになった。 (2)固定子の磁化容易軸角度が0°のモータにおいて、三相波形が崩れ、発振が不安定になる問題は、磁化容易軸角度を傾けることで改善される傾向があることが明らかとなった。 (3)固定子の磁化容易軸角度を45°とし、2系統のコンデンサ容量の値を近づけ、三相波形を出力することができれば、モータの高出力化・高効率化に繋がることも明らかになった。 (4)2系統のパラメトリック発振磁路を独立にして、互いの影響を無くすることにより、発振の安定性を増すことができることが明確になった。
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