研究課題
基盤研究(C)
当初の研究計画に従って、鋭意研究を続けた結果、以下のような研究成果が得られた。(1)バリア放電を制御する研究で、バリアとしてアクリル樹脂を用いること、バリアの温度を80℃程度に高めることで、目標としたグロー状のバリア放電を再現性よく実現することができ、これにより、NO除去効率を最大1.7倍近く向上させることができた。(2)なぜバリア温度や材質でグロー状の放電が発生するのかを、針対平板電極構成で1サイクルに1度だけバリア放電が起こる実験装置により検討した結果、バリア温度の上昇は、バリア沿面の放電距離を伸ばすこと、その沿面放電の先端付近で発生する謡状の放電がグロー状放電を誘起していると思われることを明らかにした。(3)尿素水からアンモニアを発生させ、排ガスと混合し、放電と選択還元触媒(SCR)の併用で、NOxを除去する実験システムを構築して検討した結果、ガス温度約200℃で本来400℃以上が必要とされるSCRがNOxを還元できる結果を得た。(4)排ガスの一部を吸気側に戻す排ガス再循環法(EGR)は、約12%までの排ガスの再循環で、エンジン出口のNOxは70%以上減少すること、バリア放電を併用すると、放電に必要なエネルギーは1/4以下に減少すること、また放電だけでは実現できない1/10以下の濃度まで、NOを除去できること、さらにNO濃度を一定に制御する制御法も開発することができた。(5)総合評価に関しては以下のとおりである。排ガス再循環法により、あらかじめエンジンから出るNOxの濃度を減少させておく方法がもっとも有効である。同様な方法として燃料に水と混ぜた水エマルジョン燃料も効果的であるが、適用の易しさを考えると排ガス再循環法がよいと判断される。尿素水からアンモニアを発生させてSCR触媒を使う方法は、放電装置を高温にする必要があり放電の安定性などに問題を生じるが、オゾン注入法をとれば解決でき、SCR単独の使用時より動作温度も下げられるので、スクラバーによる後処理を必要とする放電単独法に比べて利点は認められる。排ガスに炭化水素を添加する方法も効率はよいが、炭化水素のコストが放電と同程度となる問題がある。直接放電とオゾン注入法の比較では、放電装置が汚れないメリットのあるオゾン注入法がすぐれている。以上のように、本研究計画にあげていた目標はすべて達成する成果が得られた。
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