研究課題
帯電した浮遊粒子が電気絶縁性能に与える効果についての検討は極めて少ない。特に、浮遊粒子の帯電量を非接触で計測することが不可能である。また、浮遊粒子の帯電量を制御することも極めて困難である。本年度は、大気中準平等電界ギャップに小さな球形金属粒子を挿入して、その直流火花破壊電圧と金属粒子の帯電の関係を調査した。得られた主な成果は次のようなものである。(1)ギャップ長が1.5cmと2.0cmの球対平板ギャップ中の任意の位置に直径2mmの球形金属粒子を配置した場合の火花破壊電圧特性から、球電極又は平板電極に金属球が接触する場合より低い電圧で火花破壊する場合があることとが判明した。(2)その最小の火花破壊電圧が実測される金属粒子の位置は球電極から少し離れたところである。この位置に金属粒子を配置した場合、火花破壊直前の電圧で球電極の極性とは逆極性の電荷帯電が実測された。(3)この逆極性の帯電した金属粒子を考慮したストリーマ理論による放電開始電圧の数値解析値は実測値と一致した。直流電界場に置かれた金属粒子が帯電される事実は今回の極めて意義ある成果であり、電気絶縁性能の評価に不可欠であることを示す。(4)金属粒子の帯電が極めて少ない位置に金属粒子を配置した場合の火花破壊電圧は、無帯電の金属粒子を配置した電界計算とストリーマ理論(電子なだれ成長)の数値解析から予測可能である。(5)金属粒子の帯電量の制御法は、金属球上部又は下部にレーザ電離プラズマを発生し、その後の電界によるドリフト作用で正負に帯電させる。その帯電量はレ-ザショットの回数で調整可能である。(6)このレーザ帯電制御法は、浮遊粒子からの帯電を経由した放電トリガー効果を期待できる。
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Electrical Engineering in Japan Vol.158, No.2
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電気学会全国大会講演論文集[1]
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放電学会誌放電研究 49巻1号
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