研究概要 |
本研究における本年度の計画は,効率面を考慮した実機を想定し,フライホイール付きPM電動発電機を用い,パソコンによるシミュレーションを活用して,必要な制御が円滑に達成される制御手法の開発を行うことである。具体的には,本UPSがフライホイール付きPM電動発電機によるアクティブフィルタ制御を達成することで,長寿命・メンテナンスフリーを実現し,且つ電解コンデンサレス構成においても入力力率98%以上を実現できること,電源異常時にも安定した高品質電力を負荷に供給できることを確認することである。本年度のシミュレーションによる検討により,以下の結果が得られた。 1.電源正常時の直流部アクティブフィルタ動作はPM電動発電機における力行および回生モードを瞬時に切り替え,補償電流制御のためにdq座標上における各軸を充放電時で動作モード分けして制御することで,整流器負荷時においても入力力率98%以上を達成した。 2.フライホイールの速度制御は上記の補償電流制御時にその指令値を速度制御補償分だけリアルタイムに増減することで可能であることを確認した。 3.電源正常時の直流部は,正弦波の電源電圧絶対値波形に制御されることを確認し,出力インバータは電源電圧の極性に同期した低周波スイッチングで歪率5%以下の高品質電力の供給を確認した。 4.電源異常時は回生モード制御のみで常に安定した直流部電圧を確保し,出力インバータはPWM制御を施すことで瞬時停電等の無い安定した高品質の電力供給を確認できた。 以上の結果より,各電源状況に応じた制御が可能であり,また,電源状況が急変した場合においても瞬時に制御モードが切り替わり,UPSとして常に安定した電力を負荷に供給できることを確認でき,本年度の計画は充分達成された。現在,試作機を設計中であり,エネルギー貯蔵装置部は計画通り,電気的に実機と同じ動作を行う「電力変換器によるフライホイールエネルギー貯蔵シミュレータ」を開発中である。
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