微細化により性能の向上を目指しているMOSトランジスタにおいては、微細化による高速化に加えて、チャネル材料を電子の高い移動度が期待される歪SiやSiGeを導入することによりデバイスの高速化を図る試みが為されている。このようなデバイスの実現には、ソースおよびドレイン電極での低抵抗なナノコンタクトが必要となり、そのためには、低コンタクト抵抗材料を用いた、均一反応による、均質で安定なシリサイドおよびジャーマノシリサイドの形成が必要となる。本研究では、低コンタクト材料であるNiを用いて、固相反応に供するNiの結晶粒径を小さくすることにより、半導体基板との反応の均一化を図り、均質なコンタクト層を得ることを試みた。その結果、低抵抗なNiSi相を、700℃超まで、安定に保持できる可能性を見い出すことができた。さらには、NiSiGe相を均質に作製できることが可能であることを見い出すことができ、提案した試みが、有効であることを実験的に確認することができた。成果は、応用物理学会に発表予定であり、その後論文投稿を予定している。
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