研究課題/領域番号 |
17560278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山本 あき勇 福井大学, 工学部, 教授 (90210517)
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研究分担者 |
橋本 明弘 福井大学, 工学部, 助教授 (10251985)
葛原 正明 福井大学, 工学部, 教授 (20377469)
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キーワード | InN / MOVPE / 電子移動度 / 残留キャリア濃度 / V / III比 |
研究概要 |
アンモニア(NH_3)とトリメチルインジウム(TMI)を原料として、常圧有機金属気相エピタキシ(MOVPE)法によるサファイア基板上へのInN膜成長について検討した。成長膜について、電子輸送特性を中心とした電気的特性の評価を行い、以下の結果を得た。 1)InN中の残留電子濃度が成長時のNH_3/TMIモル比の増大とともに顕著に低下することを明らかにし、NH_3/TMIモル比=5x10^5においてMOVPE成長InNとしては最も優れた値4.5x10^<18>cm^<-3>を実現した。さらに、この結果から、残留ドナの起源が、Nサイト不純物かN空孔欠陥に関係したものあり、Oの可能性が最も高いことを明らかにした。 2)InN中の電子移動度が成長時のNH_3/TMIモル比には顕著には依存せず一定で、高NH_3/TMIモル比ではむしろ低下することを見出した。このことから、今回作製したInN膜中での主要散乱過程はイオン化ドナ散乱ではないことが明らかとなった。NH_3/TMIモル比の最適化によって、MOVPE成長InNとしては最高の電子移動度1250cm^2/Vsを実現することができた。 3)InNの結晶粒サイズがNH_3/TMIモル比の増大とともに顕著に小さくなることを明らかにし、今回作製したInN膜の電子移動度が粒界散乱によって支配されている可能性が大きいことを明らかにした。 4)高電子移動度トランジスタ(HEMT)を実現するうえで重要になると考えられるInN表面での電子蓄積層の存在についての知見を得るために、フォトルミネッセンスピークエネルギーの深さ依存性を調べた。その結果、InNのN極性面において、電子蓄積層に類似した高キャリア濃度層が存在することを明らかにした。この高キャリア濃度層は、Hが関与した劣化層である可能性が高いことがわかった。
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