研究課題
基盤研究(C)
樹脂とカーボンブラックから成る複合体は、固体高分子燃料電池(PEFC)用セパレータの部材となる候補の一つである。セパレータ用部材としては、発電電流が流れる方向の抵抗率を含む電気的性質とともに硬さ・折れ曲りにくさなどの機械的性質とそれらの温度依存性が重要である。【初年度】本年度は、バインダーとして熱可塑性エラステック樹脂(TPE)を選択した。(1)カーボンブラックの形状として、球状黒鉛(SG)と鱗片状黒鉛を選択した。貫通抵抗及び機械的強度の温度依存性より、鱗片状黒鉛に比べて球状黒鉛が優れていると結論された。(2)複合体の超抵抗化の機構として、カーボンブラックの充填に伴うキャリア密度の増加に比べてキャリア移動度が大きく変化することによると結論された。【最終年度】耐熱性向上のために、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を選択し、SGを混練した複合体を作成した。更に、エポキシ樹脂より耐熱性に優れている両末端シラノールを含むポリジメチルシロキサンとエチルシリケートからなる有機-無機ハイブリッドの複合化を試みた。(3)NEDO目標値である抵抗率10mΩ・cm以下に至らなかったが、数十mΩ・cmまでは達成できた。一方、曲げ強度、曲げひずみに関しては、NEDO目標値である曲げ強度50MPa以上かつ曲げひずみ1%以上に対し、PPSでは達成可能となった。(4)複合化有機-無機ハイブリッドは、TPE複合体に比べて抵抗率は10倍、機械的強度は1/10であり、今後の検討が必要である。(5)耐久試験において、PPSから成る複合体では、電気・機械的特性においては大きな特性変化は確認されなかった。(6)PP、PPSに比べ耐熱性が劣るが、抵抗率が低いTPEとSGを用い、セパレータを試作し、単セルスタックを作製し、電流電圧特性試験、交流インピーダンス試験、定電流モード試験からPEFC及びセパレータ性能の評価を行った。試作セパレータ搭載の単セルスタックは定置用PEFCとして十分使用可能なセル電圧を有していることが示された。しかしながら、セパレータの貫通抵抗率の更なる低抵抗化が望まれる。
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