研究課題/領域番号 |
17560289
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
松田 敏弘 富山県立大学, 工学部, 教授 (70326073)
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研究分担者 |
岩田 栄之 富山県立大学, 工学部, 助手 (80223402)
岩坪 聡 富山県工業技術センター, 主任研究員 (30416127)
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キーワード | イオン注入 / MOS容量 / 発光 / エレクトロルミネッセンス / イオン・ビーム・スパッタ / 透明電極 |
研究概要 |
大規模集積回路(VLSI)の基本材料であるシリコン系材料で発光素子が可能になればVLSIと共存可能な表示素子や光デバイスへの幅広い応用が期待できる。本研究は、シリコン系材料による「青・紫色ゴを含む可視発光素子を目指して、シリコン・イオン注入したゲート酸化膜を持っMOS構造による発光素子(以下、シリコン・イオン注入型MOS発光素子)に関するものである。 シリコンウエハ上に厚さ50nmの酸化膜を作製し、シリコン・イオン注入によって過剰なシリコンを酸化膜中に導入した。シリコン・イオンのドーズ量は、3、5、10×10^<16>cm^<-2>とした。また、対照としてシリコン・イオン注入していない試料も作製した。シリコン・イオン注入した酸化膜の上面に電極を形成しMOS構造とした。この上部電極には短波長領域波長解析のためにAuを用い、イオン・ビーム・スパッタリングによって作製した。p形およびn形のシリコン基板を用いた試料を試作・検討した。n形、p形のいずれの導電形においても、酸化膜が破壊する直前の電圧(耐圧)は15〜50Vの範囲であり、シリコン・イオンのドーズ量の増加とともに減少した。また、容量-電圧特性では、印加電圧の変化にともなってヒステリシス特性を示した。これは、シリコン・イオン注入によって生成された界面準位に捕獲される電荷が印加電圧の極性によって変化し、しきい値電圧のヒステリシス現象として現れるためと考えられる。EL発光特性測定では、n形、p形いずれの基板でも、シリコン・イオンのドーズ量が3×10^<16>cm^<-2>の試料のEL強度が最大となり、450nmが最も大きな波長成分であった。10KHzの矩形波を交流電圧として印加することによってEL発光を確認することができ、EL分光特性を測定した結果、長波長成分が増大する傾向があることが分かった。これは、発光中心となる酸化膜中の捕獲準位の電界に対する応答速度がエネルギー準位によって異なるためと考えられる。また、透明電極材料としてGaOを検討した結果、紫外域でも高い透明度を示す膜は得られるものの、シート抵抗が非常に高く改善が必要である。
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