研究概要 |
リラクサ単結晶である(100)面Pb[(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)_0.91Ti_0.09]O_3(PZNT(91)/(09))圧電単結晶は、[100]方向に分極した場合、80%以上の巨大電気機械結合係数k_<31>をもつことが明らかになっている。また、(110)面(1-x)Pb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_<3-x>PbTiO_3(PMNT(1-x)/x,x=0.251-0.293)圧電単結晶板においても巨大k_<31>(>80%)が確認されている。巨大k_<31>を得るために、分極温度(40℃)でDC分極電界1000V/mm以上の電界印加で分極処理を行った時、(100)面PZNT(91)/(09)および(110)面PMNT(1-x)/x(x=0.251-0.293)単結晶板では単一振動体(シングルドメイン)となり、長さ方での単一振動が発生した。その結果、巨大k_<31>およびd_<31>定数が得られると考えられた。本年度は、有限要素法(FEM)を用いて巨大k_<31>をもつ単結晶板の周波数応答解析を行い、シングルドメイン板のインピーダンス応答との関係について調べた。また、(100)面PZNT(91)/(09)単結晶板のドメイン挙動についてもFEM解析により評価した。 巨大k_<31>をもつ(100)面PZNT(91)/(09)単結晶板および(110)面PMNT(74)/(26)単結晶板のドメイン構造とインピーダンス応答との関係を明らかにするために、FEMを用いてk_<31>、k_<32>およびk_tモードのインピーダンス周波数応答解析を行った。解析では、単結晶板の長さ方向および幅方向のポアソン比OL^E,OW^Eの値を変化させることで、測定したインピーダンス応答と一致したシミュレーション結果が得られた。また、(100)面PZNT単結晶板において、ポアソン比の異なる振動体の合成周波数応答から、単結晶板のドメイン挙動を明らかにすることができた。
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