研究概要 |
II-VI磁性半導体(Magnetic Semiconductor : MS)による常温動作の短波長LD用ファラデー素子の開発を目指し、緑色LD (532nm:2.33eV)についてZn_<1-x>Mn_xTe、青色LD (475nm:2.61eV)についてZn_<1-x>Mn_xSeを対象に定め研究を行った。2006年度の研究で以下の点を明らかにした。 (1)緑色LDでの動作が期待されるZn_<1-x>Mn_xTeについて、MBE法で石英ガラス基板の多結晶膜及びサファイア基板のエピタキシャル膜の光透過率と室温ファラデー回転特性の検討を行った。その結果、光波長550nmでθ_F〜-0.12deg/cmGの特性が得られること、また基板の違いによるθ_F特性の差はほとんど無く、Mn量による差を確認した。 (2)C-cutサファイア基板におけるZn_<1-x>Mn_xTeは(111)成長が優勢であるが、Zn_<1-x>Mn_xTeエピタキシャル膜は(220)成長が優勢となることを確認した。このことが、基板の違い(すなわち結晶性)による差を示さないことと関連している可能性がある。 (3)青色LD対応のZn_<1-x>Mn_xSe膜の作成に成功したが、ファラデー回転特性を評価するまでには至らなかった。広い禁制帯幅を持つ直接遷移型A^<II>_<1-x-y>Mn_xB^<VI>磁性半導体におけるファラデー回転はMn^<2+>イオンとバンド電子とのspin-spin相互作用によるとされるため,今後Mn量をさらに増やすこと等によるZn_<1-x>Mn_xSe膜の性能向上をさらに進める必要がある。 (4)光磁気センサへのMS膜応用のために交番磁界での実験を行った。この結果Zn_<1-x>Mn_xTe膜は、フェリ磁性であるBi : YIG膜では得られないリファレンス信号波形に追従した歪みのない波形が1.6kHz交番磁界で得られることを確認した。測定受光器出力は、光CTへの応用を期待できるレベルである。
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