II-VI族磁性半導体(MS)を用いて常温で動作するファラデー素子の短波長化を計画し、広い禁制帯幅を持ち、透過窓が青色Laser Diode(LD)の波長領域に適合する高ファラデー回転の直接遷移型A^<II>_<1-x-y>Mn_xB^<VI>膜の開発を目指した。 その目的達成のために、これまで培った赤色LD(635nm:1.96eV)用Cd_<1-x>Mn_xTe膜の作成方法および光磁気特性測定方法の技術を活かして、研究対象MS膜である緑色LD(532nm:2.33eV)用Zn_<1-x>Mn_xTe、青色LD(475nm:2.61eV)用Zn_<1-x>Mn_xSeの研究を進めて成果の総括を行った。本研究で明らかにした事項は以下の通りである。 (1)Zn_<1-x>Mn_xTe膜は、光透過率とファラデー回転スペクトル特性が532nmの緑色において良く整合し、高周波光磁気センサに応用可能な特性、すなわち歪みの極めて小さい線形特性に優れた出力信号波形を励振交番磁界(〜1.6kHz)において示すこと、さらに実験で観測した受光器出力は、高周波エンコーダの光磁気センサとして、また光変流器(光CT)用の電流センサとして応用を十分期待できることを確認した。 (2)広禁制帯幅のZn_<1-x>Mn_xTeまたZn_<1-x>Mn_xSeの光透過特性とファラデー回転特性の研究成果をまとめ、緑色532nmと青色475nmに対するMS膜の光磁気特性の有効性を確認し、さらに禁制帯幅がZn_<1-x>Mn_xSeとZn_<1-x>Mn_xSの間に位置する(Zn_<1-x>Mn_x)_0.5(Se_<1-y>S_y)_0.5や、青色475nmと紫色405nmに対して動作可能と考えるZn_<1-x>Mn_xS膜へ研究を進めるためのデータの蓄積を行うことができた。このことにより、今後新しい組成を含む広禁制帯幅磁性半導体膜の開発を進めることが可能となった。
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