1.液晶分子が基板面に垂直方向に配向する機能を有するポリイミド系配向膜を塗布した基板上に紫外線を照射することで重合硬化又は溶剤に溶解するフォトレジスト膜をスピンコートし、フォトリソグラフィ技術によりフォトレジスト膜を除去して部分的に垂直配向膜面を露出し、残ったフォトレジスト面を一方向にラビング(摩擦)するという手法により、平行(ホモジニアス)・垂直(ホメオトロピック)交互配向機能を有する基板の作製技術を確立した。 2.上記の手法により平行配向膜面と垂直配向膜面を構成した基板と、一様に平行配向又は垂直配向処理を行った基板、及びネマティック液晶とスペーサを用いて、平行配向・垂直配向の交互配向領域を有する液晶セルを作製した。 3.平行配向・垂直配向の交互配向領域の境界部における光学位相差分布特性を調べることにより、配向が変化する境界領域における液晶分子配向状態を解明すると共に、配向処理方法との関連について考察を行った。 4.液晶分子配向における連続体理論に基づき、液晶セル基板界面における分子配向状態について分子配向のシミュレーションを行った。すなわち、液晶層の厚みと配向領域の関係や液晶の材料パラメータを可変した場合の液晶層における液晶分子の配向状態の場所的な変化及び光学位相差の分布特性についてシミュレーションを行い、所定の屈折率分布の勾配を実現するための設計指針を確立することができた。 5.直径が1ミクロン程度の平行配向領域の円形パターンを多数形成した基盤を用いて液晶セルを作製し、その光学特性の測定を行った結果、微小配向領域の実効的な面積を可変することにより光学位相差を調整することが可能となった。次に、外部電圧印加による実効屈折率分布特性の変化について実験及び考察を行った。 6.以上の研究成果に基づき、平成17年度における研究成果についてまとめを行った。
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