研究概要 |
パターン媒体を用いた垂直磁気記録再生系をハードディスク装置(HDD)に適用するためには,PRML方式のような高密度化のための信号処理方式の導入が不可欠であり,本年度は以下の検討を行った。 1.計算機クラスタの構築について パターン媒体をHDDに適用した場合を想定した記録再生系のモデル化,記録符号化、PRML方式の検討に必要な計算機サーバを,7台のワークステーション,RAIDユニットをギガビットネットワークで接続して計算機クラスタを構築した。 2.パターン媒体を用いた垂直磁気記録再生系のモデル化 記録再生シミュレーションを実行するために,記録再生の最小単位を直方体,円柱の二種類のアイランドとして再生波形モデルの検討を行った。 3.計算機シミュレーションによる性能評価 PRML方式を構成する際に,垂直磁気記録に適したPR1方式,長手磁気記録に適したダイコードチャネル,フルレスポンス(FR)チャネルを一次等化方式として採用してGeneralized PR(GPR)チャネルを構成した。これら3種類のGPRML方式について,1)の計算サーバを用いた計算機シミュレーションにより,ビット誤り率と復号誤りを求めて解析した。3種類のPRML方式のうちでは,FRチャネルを一次等化としたGPR-FRML方式が良好な誤り率特性を示した。復号誤りについては,連続媒体を用いた場合に見られる強い記録信号依存性は認められず,パターン媒体を用いることによる雑音の信号依存性の低減効果が確認できた。また,復号誤りのほとんどが1ビット誤りで,PRML方式の後段にポストプロセッサ等を設置することで,ビット単位の誤り訂正が有効に作用すると考えられる。 4.トラック間干渉のモデル化と複数トラック一括再生の検討 隣接するトラックで交互にアイランドを配置し,等化器の帯域を拡大することによって一括再生できる可能性を確認した。
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