本研究は、屋内外を問わず任意の場所に簡単に設置(装着)でき、しかもメンテナンスが不要な、電子標識や電子タグ、各種μモニターなど、個別の電源供給や信号配線が困難な利用を想定した完全自律型(電源不要、光インターフェース)のLSIを実現することを目的とする。 本研究では、そのような自律型LSI、特に、電気的に非接触で且つ電源不要な完全独立型LSIを実現する為に必要な下記の要素技術について、標準CMOSプロセスで形成することを前提として、その実現手法とその利用可能性を明らかにする。 平成17年度には、光発電機能に関する機能性能の検証実験を中心に実施し、提案の回路構成により通常のCMOS回路が正常に動作できることを確認した。平成18年度には、光信号入力機能に関する基本回路構成について実験的評価検討を行い、光信号検知回路TEGチップを試作・評価して、その基本動作を確認した。また、発電用光信号を変調することで、光信号入力が可能であることも実証した。 そこで、平成19年度では、今迄に試作・検証した、光発電機能および光信号検知機能を統合したTEGを標準CMOSプロセスにより試作し、光発電機能及び光インターフェース機能の総合評価を行い、夫々の基本性能を評価した。また、上記の光発電・光信号受信TEGチップ試作・評価に加え、光信号出力方式の検討を行い、ディスクリートLEDの発光変調回路を試作して、その光発電・光信号発信型LSIの可能性を評価した。以上の研究によって、光駆動型の完全自律型LSIに必要な要素技術を評価確認することができた。
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