研究課題/領域番号 |
17560312
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中村 有水 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (00381004)
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研究分担者 |
久保田 弘 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 教授 (20170037)
中田 明良 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (60302650)
中 良弘 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (30305007)
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キーワード | 結晶成長 / 光源技術 / 電子デバイス・機器 / 半導体物性 |
研究概要 |
本研究の最終的な目的は、マスクレス露光装置を小型化することにより多重化を行い、低コストで高いスループット実現することにある。具体的には、同装置の構成要素である「パターン形成部分」と「紫外光源用ランプ」の代わりに、「多数の短波長発光ダイオード」を2次元的に配列し、これらを独立制御する。今回の科研費交付期間である平成17〜18年度の2年間は、短波長発光ダイオードの形成と、その2次元アレイ化及び各発光ダイオードの独立制御によるパターン形成までを実証することを目標とした。 そこで、まず第一ステップである短波長発光ダイオードの形成を目指して研究を行った。具体的には、紫外発光材料と電荷注入層の開発を行い、また、同発光材料の評価系構築のため、カソードルミネッセンス装置の立上げを行った。具体的には、紫外発光材料である酸化亜鉛(ZnO)を、N型電荷注入層である酸化スズ(SnO_2)とP型電荷注入層である酸化ニッケル(NiO)で挟んだ構造を目指して、各材料の形成を行った。本研究における方針は、露光装置の低コスト化であるため、材料薄膜を形成する基板、及び形成方法を低コスト化することが重要である。そのため、格子整合基板上における単結晶の成長(エピタキシー)ではなく、シリコン基板または石英ガラス基板上における多結晶の形成を行った。また、薄膜形成法としても、低コスト化を考慮し、抵抗加熱蒸着やスパッタ法を試みた。その結果、酸化亜鉛においては、一般に報告されている値と同様、波長380nmにおける発光が、今回立ち上げたカソードルミネッセンス装置により確認された。しかるに、発光強度はまだ微弱なため、形成方法・形成条件とも改善が必要である。また、N型電荷注入層として形成した酸化スズについては、導電率0.001Ωcm、透過率90%、バンドギャップ4eV程度という良好な結果が得られた。また、P型電荷注入層として形成した酸化ニッケルでは、真空蒸着法では透過率70%、バンドギャップ4eV程度という結果が得られ、一方スパッタ法ではゼーベック効果の測定からP型になることが確認された。このP型透明導電膜は、世界的にも未開拓の領域であるため、本研究でP型であることを確認したことは意義深く、この試料について透過率や導電率のデータを取得後、学会発表の予定である。 以上のように、小型・低コストで高いスループットを有するマスクレス露光装置開発のベースとなる短波長発光ダイオードの形成を目指して、紫外発光層及びP・N型電荷注入層の開発を行った。今後、各層の品質をさらに向上させ、まず紫外発光素子として完成させる方針である。
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