研究課題
基盤研究(C)
金属格子の表面プラズモン共鳴吸収を屈折率センサ(プラズモンセンサ)に応用する方法と、予想されるセンサの性能について、理論(計算機シミュレーション)と実験の両面から検討した。まず、誘電体でコーティングされた金属格子における表面プラズモン励振の数値計算と実験結果を比較し、コーティングによる共鳴吸収の発生位置(共鳴角)の移動を理論と実験の両面から確認した。この共鳴吸収の発生を屈折率センサとして利用するためには、共鳴角を高い精度で測定することが求められるが、従来行われてきたように回折効率の変化だけを見ていたのでは、十分な精度を得ることが困難である。共鳴角を高精度で決定するために、コニカルマウントされた回折格子の共鳴吸収に伴う強いTM-TEモード変換(TM波を入射し、回折波を測定すると、大部分がTE波である)に着目し、シミュレーションで(TM波の効率)÷(TE波の効率)を予測すると、この比の値は共鳴角で鋭いピークを示した。共鳴角の測定に共鳴吸収に伴うTM-TEモード変換を利用することによって、回折格子を用いたプラズモンセンサの実用化が可能であることを、数値計算と実験の両方から確認できた。回折格子のモード変換を利用するセンサは、現在実用されているプリズムと金属薄膜を用いたプラズモンセンサに比べて、十数倍の分解能を得ることができることを明らかにした。また、被測定試料の屈折率によって最適な方位角が存在することを指摘し、この現象を利用すれば、位相情報を用いない回折効率のみの測定でより高精度な屈折率測定が可能であることを理論的に示した。
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