本方式の基本的原理確信として距離画像多重化立体表示の実験を行った結果、結像位置の変化範囲ならびに移動速度ともに、現在入手できるデバイスでは十分な性能が得られず、その結果、奥行きと視域角が狭くなり十分な立体感を得ることが困難であった。そのため、汎用的な3次元データの構築とその応用という観点から、汎用3次元データ形式の考案とその構築法、および、汎用3次元データを用いた様々な立体表示方式と発生する問題の解決について研究に取り組んだ。また、ハードウェア開発の観点から光計測や表示に用いる光制御デバイスの研究を進めた。 まず、3次元カメラ(Axi-Vision)の3次元情報であるカラー画像と距離画像から、射影モデルに基づいて、世界座標系で定義された汎用性の高い3次元カラー情報を構築するアルゴリズムを開発した。この3次元情報を用い、インテグラルフォトグラフィ(IP)方式による立体表示を行った。3次元カメラの高解像度データとIP表示装置の解像限界の不整合に起因して発生する折り返し歪みの問題を解析し、3次元カメラデータの2次元空間フィルタリング処理によって解決できることを示した。この研究成果は、3次元画像コンファレンス2006および米国開催のSPIE and IS&T Electornic Imaging 2007で発表した。米国光学会誌にも論文投稿の準備中である。 光制御デバイスとして、SU-8フォトレジストを構造体とした静電駆動型光変調素子(Grating Light Valve ; GLV)を設計・試作し、光変調機能を確認した。この成果は、2007年度春季応用物理学会で発表した。また、英国電気学会Electronics Lettersへ投稿準備中である。
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