研究概要 |
大規模システムLSI物理設計基盤技術として,物理設計における主要な課題であるフロアプラン手法、超高速回路のクロックスキュー最適化手法,さらに、物理設計と上流設計を連携した大規模回路設計手法の研究を行った。 (1)大規模フロアプランアルゴリズムの評価改良 フロアプランは任意の大きさの矩形ブロックを指定された領域内に、配線長が最も短くなるよう配置する問題である。昨年度までに、新しいフロアプラン最適化手法であるlAR (insertion-after-rcmove) FP法を提案し,最先端のシステムに比べ、配線長・計算時間を大幅に改良する結果を得ていたが,本年度は,この手法にマルチレベル最適化手法を加えることにより,さらに配線長を約10%、計算時間を1/1.8に削減した。その結果,数千ブロックのフロアプランまで処理できることを確認した。 (2)超高速回路のクロックスキュー最適化手法の検討 超高速回路のクロックスキュー最適化のための、レジスタ位置最適化問題をMIS (Maximal Independent Set) 問題として定式化して解く方法およびラグランジュ緩和法で解く方法を提案し,いずれの手法も従来法を大きく上回る結果を得た。 (3)物理設計と上流設計を連携した大規模回路設計手法の検討 高位合成のためのスケジューリングアルゴリズムの研究を行ない、最大フローアルゴリズムに基づく手法を提案した。この手法は種々の制約条件を考慮できることを特徴とする。制約条件の例として電流量の時間的変動量の削減を選び、電流量の変動を最大で60%削滅することを示した。 以上、これらの研究成果は、1億ゲート規模のシステムLSI設計で重要となる大規模システムLSI物理設計の基盤技術の進展に貢献するものと考えている。
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