MEMSをはじめとする可変機能を持つデバイスの数値解析やモバイル通信における振動や運動の電磁波への影響を検討するため、移動境界適合座標系と重合格子法の2種類の手法を用いて移動する物体や境界の数値解析法を提案してきている。今年度は、移動境界適合座標系を用いて周波数領域での運動による影響について検討した。この結果、光速に比べて速度が遅い場合については厳密解とよく一致した。さらに、重合格子法と移動境界適合座標系を用いてドプラー効果について検討し、提案する2つの手法は厳密解とよく一致することを証明した。重合格子法は、移動境界適合座標系に比べて移動距離を長く取れる特徴があり、今後、広い範囲に応用ができる利点があるため、MEMSをはじめモバイル通信機器に応用できる手法であることを確認した。周波数領域での成果は、電子情報通信学会論文誌に採録が決定したのを始めとし、2007年6月のIEEEAP-S、7月の電子情報通信学会研究会、9月の電子情報通信学会ソサイエティ大会で発表した。ドプラー効果についての成果は、2007年8月のISAP2007、9月の電子情報通信学会ソサイエティ大会、2008年3月のACES20008で発表した。重合格子法と移動境界適合座標系の比較についての研究は、2008年3月の電子情報通信学会総合大会で発表し、2008年7月のIEEEAP-S2008で発表の予定である。さらに、MEMSに応用した研究成果は、2007年12月のAPACE2007で発表した。以上に述べた学会発表では、各方面から高い評価を得ることができた。
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