半透過型LCDの高性能化(省電力化、高画質化、広視野角化、構造簡単化)を目的として(1)平行配向セルをベースとした半透過型LCDの更なる高性能化と実現可能性、(2)TNセルをベースとした半透過型LCD、(3)60°ねじれのTNセルをベースとしたシングルセルギャップの半透過型LCDについて検討し、以下のことを明らかにした。 (1)平行配向セルをベースとした半透過型LCD ・2ドメイン構造にすることで、透過部のコントラスト比10:1の領域が大幅に広がること、したがって半透過型の視野角を更に広げることができる。これは、2ドメイン構造にすることで明るさがパネル全体に平均化され、極端に明るさの低い領域がなくなったためである。 ・オフ電圧を0.5Vまで高くしても視野角はオフ電圧0Vのときとほぼ等しい。したがって、LCDの駆動法を工夫してパネルの消費電力をさらに低減することができる。視野角特性はセル中央の液晶分子の立ち上がり角θmに強く影響されることから、オフ電圧の上限はθm-印加電圧特性の閾値電圧である0.5Vとなったと考えられる。 ・セルギャップが±2%変動しても視野角はあまり変化しないことから、今回最適化した2ドメインの液晶セルは現状の技術で容易に製造できる。 ・製造が困難であると考えられる2軸性位相差板については今後更なる検討が必要である。 (2)TNセルをベースとした半透過型LCD ・10°〜90°のねじれ配向セルをベースとしても上記の平行配向セルをベースとしたときの表示特性を凌駕するセル条件は存在しない。 (3)60°ねじれのTNセルをベースとしたシングルセルギャップの半透過型LCD(構造簡単化を目的) ・オン電圧を10Vと高くすると視野角を広くできるが、オン電圧を通常の3V〜4Vにするためには視野角補償を工夫するなど更に検討を要する。
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