研究概要 |
半透過型LCDの高性能化(省電力化、高画質化、広視野角化、構造簡単化)を目的として(1)平行配向セルをベースとした半透過型LCD(2)TNセルをベースとした半透過型LCD、(3)60°ねじれのTNセルをベースとしたシングルセルギャップの半透過型LCDについて検討し、以下のことを明らかにした。 (1)平行配向セルをベースとした半透過型LCD ・位相差板で補償し,セル条件を最適化すると、セル法線方向に対してはNBモード、NWモードともに、ITFT駆動のオン電圧を現状の4.0[V]から2.0[V]まで低下させても、表示の明るさ(明状態の反射率または透過率)49%以上、コントラスト比100:1以上で、分光反射率の波長依存性の小さい白黒表示が得られる。ただし、位相差板のΔnの波長分散は、通常とは異なり逆分散となる。 ・NBモードでは、位相差板の屈折率nzを最適化すると、TFT駆動のオン電圧を2.0[V]まで低下させても比較的広い視野角が得られる。また、2ドメイン構造にすることで、透過部の視野角を更に広げることができる。したがって、TFT駆動のオン電圧が4.0[V]である現状の半透過LCDに比べ、パネルの消費電力を高画質と広視野角を保ちながら約1/4に低減できる。 ・セルギャップが設計値(最適値)から±2%変動しても視野角特性にほとんど影響を及ぼさないことから、上記の半透過型LCDは現状の技術で容易に製造できる。 (2)TNセルをベースとした半透過型LCD ・10°〜90°のねじれ配向セルをベースとしても上記の平行配向セルをベースとしたときの表示特性を凌駕するセル条件は存在しない。 (3)60°ねじれのTNセルをベースとしたシングルセルギャップの半透過型LGD ・オン電圧を10Vと高くすると視野角を広くできるが.オン電圧を通常の3V〜4Vにするためには視野角補償を工夫するなど更に検討を要する。
|