研究課題/領域番号 |
17560322
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
大石 泰丈 豊田工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (80360238)
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研究分担者 |
新井 雄介 豊田工業大学, 大学院工学研究科, ポストドクトラル研究員 (00435934)
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キーワード | レーザ媒体 / 光増幅 / 広帯域増幅 / 光通信 / 短パルスレーザ / 遷移金属イオン / 透明ガラスセラミックス / 結晶化ガラス |
研究概要 |
広帯域発光を示すNiイオン含有ガラスの超広帯域光増幅媒体としての可能性について検討した。Niイオンが光学活性となるホスト結晶を検討し、高効率な発光特性を有するNi含有ナノ結晶が析出する透明結晶化ガラスを探索した。その結果室温で最も高効率な発光を示すNi:LiGa_5O_8結晶を分散した透明結晶化ガラスの作製に成功した。この室温広帯域近赤外発光を示すNi添加Li_2O-Ga_2O_3-SiO_2(LGS)系透明結晶化ガラスの光学的、構造的および熱的な特性を調べ発光機構と熱処理過程の相関について検討した。この室温広帯域近赤外発光は熱処理過程でNiがガラス相からLiGa_5O_8ナノ結晶相の六配位サイトに移り、その六配位サイトのNi^<2+>の^3T_<2g>→^3A_<2g>遷移により起こることを明らかにした。発光寿命の温度依存性からこの発光は室温でも極めて高い量子効率を有することが分かり、増幅媒体として期待できることを明らかにした。また、噴霧火穂炎法によりレーザ発振の実績があるNi:MgOのナノ粒子を作製に成功してバルクに劣らない発光特性を示すことを明らかにし、本方法がナノ結晶を光学活性媒体とする光増幅媒体合成に有効であることを始めて示した。これらの結果から、遷移金属イオン含有ガラスの超広帯域光増幅媒体としての応用が期待できることを明らかにした。 また、更にBi添加Li_2O-Al_2O_3-SiO_2シリケート系ガラスが遷移金属イオンでも実現できないこれまでにまったく例のない400Kまで量子効率の低下が無く、また1000nmを超える超広帯域性を持つ有力な利得媒体候補であることを見出した。これを増幅媒体してもちいると広帯域の波長可変レーザや超短波ルスレーザ、および超広帯域光増幅が実現できる可能性があることを示した。
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