今年度得られた研究成果を以下にまとめる。 (1)ミリ波回路構成用材料の電気特性の把握:ミリ波誘電体共振器および線路の構成材料である、アルミナ、サファイア、テフロンおよびパッケージングの内壁材として用いる電波吸収シートの50〜100GHz帯にわたる複素誘電率測定を測定し、回路設計のための電磁界解析およびシミュレーション際に用いる計算パラメータとして用いた。 (2)デュプレクサ構成法の考案:新しいデュプレクサの一形式としてWGモード共振器を用いて構成される2バンドBPF構造考案し、その構成要素である共振器、励振用線路などの設計指針を打ち出した。 (3)デュプレクサ構成用円板共振器設計の高精度化に関する検討:提案のデュプレクサを構成する際、特に各共振器の共振周波数の設計精度向上が求められることが、予備実験により明らかとなり、従来の共振器設計手法を見直した。共振周波数だけではなく共振周波数間隔も考慮しながら、共振器の設計寸法を決定する手法を採用することにより設計精度の向上を果たした。 (4)結合共振器特性の解析:横側結合する円板共振器の結合特性の解析を、FDTDシミュレーションにより行いフィルタ設計の基礎資料とした。 (5)デュプレクサ構造に対する電磁界シミュレーション:以上より、2周波のミリ波信号を分別あるいは合波するデュプレクサ構造を決定し、試作に先立ち、FDTDシミュレーションによる検証を行い、設計した構造がデュアルバンドフィルタ特性を有することを確認した。 予定していたデュプレクサの試作を研究期間内に終了することが出来なかったが、その準備を整えることが出来た。継続して本研究課題に取り組む予定である。
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