研究概要 |
1)署名照合と音声照合の融合 昨年度実施したオンライン署名照合の識別率向上と音声照合の研究の結果として,100%の照合率を得ることは困難であった.そこで,それらを融合にするマルチモーダル・バイオメトリクスについて検討を行った.融合方法としては,アブストラクトレベルでの直列方式(論理積),並列方式(論理和),スコアレベルでの重み付き加算を評価した.オンライン署名照合では96.0%,ピッチを用いた音声照合では74.3%であった照合率が,直列融合方式では96.7%,並列方式では90.2%,重み付け加算では97.5%の照合率が実現された.今回のように二つの照合率に大きな差がある場合,並列方式は適さないことが分かる.これは,本人棄却率を下げる一方で,他人受け入れ率がそれ以上に高くなるためである.さらに,アブストラクトレベルでの融合よりスコアレベルでの融合の方が高い融合率を実現できることを確認した.また,重み付き加算融合の際に非線形関数の導入の検討を行った.非線形関数は,本人データの際の照合スコア値を強調するためであり,今回は,sin関数,exp関数,2次関数を評価した.結果として,等識別率が得られる最適閾値設定の範囲が拡大することを確認した. 2)携帯型情報端末でのソフトウェアによる実装 携帯型情報端末での実現を評価するため.Windows Mobileを搭載した携帯型情報端末と包括的な開発環境が提供されるVisual Studio 2005を入手し,ソフトウェア実装を試みている段階である.来年度も引き続き演算量削減やプログラムの最適化を図りつつ,ソフトウェア実装を行っていく,最終的にはFPGAでのハードウエア実装へ繋げる予定である.
|