平成17年度に構築した3ヶ所の観測系(粟ヶ岳、奥の沢、新島)はいずれも山上の無人観測点であるが、観測機器を安定に動作させることができ、広島市立大学からの遠隔監視制御により平成19年度も連続して観測でき、3年聞データ欠落無く貴重なデータを取得することができた。 粟ヶ岳、奥の沢、新島の各観測系は、相互に見通しエリアが重複するように設置してあるため、各観測点の検出データの変化が、観測点固有の変化か、それとも複数の観測点に共通の変化か、比較検討が可能であり、信懸性の高いデータを取得することができた。 平成19年度は、東海エリアでは特に顕著な地震・火山活動は無く、平穏な期間であったが、観測点ごとに特徴ある伝搬データを取得することができた。これら平穏時のデータは、異常時のデータと比較する際に、定量的な裏づけデータとなる。 3ヶ所の観測系の中では、特に新島観測点において、伊豆大島や伊豆半島での地震、火山活動のモニターを目的として、東京からの伊豆大島越えのFM放送波、静岡からの伊豆半島越えのFM放送波を観測しているが、3年間の連続観測により、海面反射波および季節変動に伴う受信レベル変動特性を定量的に計測することができた。 また、新島観測点から見通しエリアとなる伊豆大島および三宅島について、新島観測点において計測したVHF帯広帯域電磁波と、火山活動の関連を比較検討した結果、今年度の火山活動程度では、VHF帯広帯域電磁波に変化が生じないことを確認した。 3年間の連続観測の結果は貴重なデータであり、成果報告書にまとめた。さらに得られた観測データを詳細に解析し、論文誌に投稿する予定である。
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