研究概要 |
ワイヤレスセンサーネットワークは,外部環境に温度,湿度,雨量などの情報の他,地震や地殻変動さらには人の動きなど様々な情報をあるエリアにおいて検出し,それらの情報を収集するうえで今後大きく期待されている分野である。従来,ネットワーク構成法において種々の提案があるが,主にネットワーク全体の電力消費を小さくし,ライフタイムを大きくする研究が主体であった。本研究では,無線の周波数を有効利用し,かつシステムの信頼性を伸ばすことを主眼として階層型ネットワーク構成の提案を行い,実際の計測とともにコンピュータによるモデル化を行い有効性を明らかにした。階層型の構成法として,センサーノードにZigBeeを用い,上位のノードに王EEE802.11b/gのネットワークを適用し,かつ両者の周波数を共用する方式の提案を行い,両者が非同期の環境において周波数を共用するためのトラヒック制御を行った。その結果,非同期においても,同一の周波数を共用できることを明らかにした。次に,階層型の上位ノードとしてのクラスターの形成方法として,従来のLeach方式を改良してクラスター内に分布するセンサーノード数の分散を低減させる方式を提案し,コンピュータのモデル化によりその有効性を明らかにした。また,ネットワーク障害や災害などによりネットワークホールが発生することを予想して,これらの障害において情報転送に支障がなく,迅速に復旧する手法を提案し,コンピュータによるモデル化を行い,その有効性を明らかにした。以上の検討により提案した階層型無線センサーネットワークが今後の実システムへの適用においても十分有効かつ効果のある方式として確立した。
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