地震や津波など広域災害等における安価で信頼性が高く、長距離伝搬可能な通信ネットワークとしてHFの電離層反射を用いた広域マルチホップネットワークを提案した。電離層反射に基づいて跳躍距離が変わることから、フェイズドアレイアンテナを用いてビームの仰角を制御し、近距離から中、長距離まで、自在にアクセスポイントを変えつつ、マルチホップの特性を生かしたカバレッジを実現させるために様々な検討を行った。HFの持つ電離層反射特性の季節変動、時間変動に合わせるため、HFのフェイズドアレイアンテナを周波数を固定しないで実現させる。具体的には多バンドのダイポールアンテナを用いて更に、位相差を自由にコントロールできる機構を構築し組み合わせることで、多周波数で自在に仰角の可変可能なマルチバンド・フェイズドアレイアンテナシステムが実現できる。アンテナの建設に関しては周波数が低いHF帯を用いるので、アンテナも大型になる。 一方で、設置予定地はオオタカ生息地であることから、アンテナが生態系に与える影響が懸念され、同時に環境保護団体に配慮することが必要であったため設置が大幅に遅れた。結果として代替地での設置が決まり、現在、急ピッチで設置を行っている最中である。事前評価として、マルチホップネットワークに関するシミュレーションや位相を変えることによる仰角パターンの検討、並びに位相可変機構の構築に関する検討を行った。アンテナが設置され次第、実験等を行う予定である。
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