本年度は、マルチホップ無線ネットワークにおけるマルチパスルーティングプロトコルの検討を行い、シミュレーションによって種々の特性を明らかにすると共に、ノートPCにソフトウェア実装を行い、複数台のノートPCから構成される実際のマルチホップ無線ネットワークを構築し、学内においてビデオ信号の配信実験を行った。具体的に行った作業は以下の通りである。 【シミュレーション実験】 (1)通信状況に適応して動的にパスを切り替えるマルチパスルーティング方式の提案と有効性評価。 (2)通信状況の変化をパス毎の受信電力の値に応じて判断する方式の検討と有効性評価。 (3)階層的符号化、あるいはMDC (Multiple Description Coding)と呼ばれる方式を用いてビデオ信号を圧縮してマルチホップネットワーク上に配信する方式の検討。 【実装評価実験】 (1)Linux上で動作するアドホックネットワーク経路制御プロトコルであるKernelAODVのソースコード理解と動作検証 (2)提案したマルチパスルーティングプロトコルをソフトウェア実装するためのKernelAODVのソースコード改造と動作検証 (3)複数台のノートPCに上記の提案プロトコルを実装して構築したマルチホップ無線ネットワーク上のビデオ配信実験の評価と検証 以上の成果をまとめて、国内学会に2件、国内研究会に1件の投稿・発表を行い、さらに国際学会に1件投稿して採択され、2006年度に発表予定である。
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