研究課題
基盤研究(C)
(1)センサーネットワークの普及にとって不可欠な物理層レベルの問題の一つである電波伝搬問題に対して、砂漠や山林等の不規則表面に沿って進行する電磁波の伝搬特性について数値解析を行った。計算手法は主としてFVTD法(有限体積時間領域法)を採用した。数値計算結果は統計的手法を用いて処理し、電磁波の減衰が粗面の平均高と相関長に対してどのように振舞うかについて定量的に検討し、減衰特性が距離のべキ数で表せることを確かめた。この結果はセンサーネットワークの接続制御に有効な知見を与えるものと思われる。(2)FVTD法の応用にはコンピュータのメモリを多用すると言う欠点がある。ワークステーションやパソコンを使ったシミュレーションによる研究では、この研究で取り上げた複雑系の問題に対してそれらのコンピュータ容量は十分とは言えない。そこでこの研究では、FVTD法において無限空間を仮想的に実現する吸収境界条件に改善を加え、吸収に必要なメモリは一切要らない外挿吸収境界条件を提案した。メモリを多用するPML程度の精度は実現できないが、実用的に問題のないレベルの精度が得られるので、スーパーコンピュータを利用できない研究者に対して有効な手法であると思われる。(3)ランダム粗面に沿う電磁波の伝搬問題では、送信点から受信点に直接進む信号(直接波)のほか反射、回折等を繰り返して複雑なパスを経由して到達する信号(多重波)がある。これらの干渉波のエンベロープは仲上・ライス分布となることが予想される。この研究ではこの分布の重要なパラメータである、直接波電力対多重波電力の比を簡単に算出できる算法を提案し、実験値と計算値に対して適用を行った。センサーネットワークの電磁環境である複雑系の問題に対して有効であると思われる。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (9件)
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