研究概要 |
本研究の目的は、2値無記憶拡大情報源に対するコンパクト符号の数理的な構造に関して、以下の2つの課題を解決することにある。 (1)Jakobssonや長谷川等のコンパクト符号化が成立するために優勢シンボルの生起確率pが満たすべき多項不等式に付随する以下の条件を詳細に検討し、この条件を成立させるnの一般形を見出す。 (k^^n)+1が2のべき乗数ではない ただし、nは拡大次数、k=[n/2]-1 (2)1つの2値無記憶拡大情報源に関して、2つのコンパクト符号の「隣接性」を判定する組織的な方法を見出す。 成果(1):n=2,3,6の場合を除いて、 (k^^n)+1が2のべき乗数になることはない。 成果(2):特定次数の2値無記憶拡大情報源に対するコンパクト符号木の形に着目した方法を検討した。具体的には、LongoとGalassoによって提案されている符号木の変更手順を改良し、その改良手順に従って、隣接したコンパクト符号を順次生成する方法を考案した。 さらに、2値無記憶拡大情報源に対するハフマンの符号化手順(コンパクト符号化手順)において、各縮退情報源が生成される過程に注目した方法を検討した。具体的には、ある縮退情報源における統合シンボルが次の縮退情報源のどこに位置するかを示す情報(インデックス)に注目し、全縮退情報源に渡って得られるインデックスの列(インデックスシーケンス)と得られるコンパクト符号の符号長集合との対応関係にっいて数値実験に基づいて検討した。その結果、インデックスシーケンスのパターンの分類に基づいて、隣接コンパクト符号を列挙するという方向の妥当性を確認した。
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