研究課題
基盤研究(C)
本研究課題では、電力・熱エネルギー売買が自由な区域(以降では群と呼ぶ)を想定し、エネルギー生産能力を持たない需要家や、中・大規模の自家発電・発熱システムを具備する需要家をエネルギー売買市場に参入するエージェントとしたマルチエージェントシステムを考える。各主体にはCO_2排出量枠が科せられているとし、エネルギーの売買において単位エネルギーあたりのCO_2排出量(CO_2排出量原単位と呼ぶ)を陽に考慮する。それぞれの自律主体は、自己の電力(熱)需要に即応しつつ、時々刻々変化する電力(熱)スポット価格に対応して、最大の経済効果をもたらすような余剰・不足電力の売買機会・発電量・価格を決定するとともに、燃費効率、CO_2排出量などの制約条件下で、群全体の最適化を達成するよう運転プロフィールを協調的に決定しなければならない。研究期間内に得られた成果を以下にまとめる。まず、多属性・多品目オークションを用いた取引手法を提案した。オークション手法では解の最適性に問題があったため、市場指向プログラミング(MOP)を用いた手法を提案した。MOPを適用する上での問題点を明らかにし、アルゴリズムの改良、エージェントの戦略を提案した。また、原単位の調整機構を提案し、群全体の最適解に近い解を求めることに成功した。さらに、複数需要家の場合に対応できるようアルゴリズムの改良を行い、収束性、提案手法の有効性を計算機実験により確認した。想定した群のようにエネルギーを融通することによって全体としてのコスト(=エネルギー使用量)削減が可能であることが示された。また、マルチエージェントシステムによって達成可能であることが示された。想定した群は自律主体の集まりであり、中央集権的な手法はなじまない。マルチエージェントシズテムによって達成可能であることが示されたことは、実用面において有意義なものであると考える。
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電気学会論文誌 Vol.128-C, no.1
ページ: 24-31
Electrical Engineering in Japan Vol.162, no.4
ページ: 54-63
IEEJ Trans. EIS Vol.128, no.1
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ページ: 1513-1521
IEEJ Trans. EIS Vol.125, no.10