研究概要 |
システムの設計や計画・運用を対象とし,より柔軟な問題解決・意思決定支援を可能とする方法論の構築を目的として,双方向インタラクションによる認識過程の数理モデル化および意思決定支援のための創発モデルの構築に向けてのアプローチを展開した. 特に,複雑・大規模システムを人間が運用・制御するといった問題解決に際して人間モデル(エージェント)とシステムのインタラクションを考えることの重要性に注目し,人と機械の協調による問題解決のための状況認識モデルの構築を目的として研究を進めた.従来,人がインタフェースを介して対象システムを制御する場合,典型的にはインタフェース(認識モジュール)は作り込まれたものであり,人がインタフェースに適応する形での熟練を通じて問題解決が行われてきた.しかし,このインタフェースでは初心者による問題解決には多くの時間が要求されるものであった.そこで,エージェントが学習することだけを考えるのではなく,状況認識モジュールもエージェントと共に学習し,より良いインタフェースに進化するといったことも考慮に入れたモデルを再構築・提案した.このインタラクション・モデルでは,エージェントとインタフェースモデルそれぞれに学習系が適用され,エージェントのみの学習とインタフェースのみの学習を同時並行的に行うことで,エージェントとインタフェースが共に学習する枠組みを想定している. 提案モデルの可能性・重要性の検証のため,問題解決の具体例として強化学習における状況フィルタリング問題を取り上げた場合の計算機シミュレーションを行い,その結果として,エージェントの学習は状況の認識の粒度によって速度や精度等が変化するものであり,インタフェースが学習し,よりエージェントの学習を助長する状況フィルタリングを行えるようになれば,より良い問題解決が期待できることが確認された.
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