本年度は、ハードウエアの最終的な完成と、完成したハードウエアを用いてICAの実装を行うこと、そして評価実験を行うことを目標とし、それを実施した。 第一のハードウエアの製作においては、18台に拡張したDSPシステムを2台に増強する計画を予定どおり実施した。また、ICAの結果を出力するためのマルチチャネルAD変換器とそのインターフェースも製作し、動作を確認した。 第二の実験課題であるソフトウエアの製作については、個々に作っていたFFTや信号並べ替えのルーチンを統合し、全体として、リアルタイム動作が可能となるよう工夫を重ね、信号が蓄積してしまうことなく処理が行えるような実装を完成させた。具体的には、8チャネルで44.1kHzサンプリングの高品位信号を、ウインドウをかけて4096点FFT処理し、周波数とスナップショットの順番の並び替えを行い、ひとつのDSPに、ある瞬間には同一の周波数の8ch信号が256スナップショット与えられるようにし、ICA処理にわたしたあと、結果をさらに並び替え4096点の逆FFTを行い、重み関数で滑らかに両端を切り落として信号をつなぎ合わせる処理を実装した。また、入力として、マイク入力だけでなくSDカードにかかれた評価用音声も用いられるように工夫した。 第三の課題として、複数音源から音を発生させるシステムを作った。これを用いて全体の動作が可能であることを実証し、性能評価を行った。
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