研究概要 |
(1)ボクセルモデルの作成:本学大学院医学研究科附属高次脳機能研究センター所有の3.0T MRI装置(Simens社製)によるMRイメージを画像解析し、頭表形状・骨格形状・脳組織形状などを抽出することで、人体頭部簡易ボクセルモデルを作成可能とした。組織導電率についてはNICT数値人体モデルデータベース(日本人健常成人男女性全身ボクセルモデル)で使用されているGabrielレポートの値を用いているが、被験者固有の形状を有する数値電磁界解析用簡易頭部ボクセルモデルが数時間程度で作成可能となった。 (2)電磁界解析システム:ボクセルデータ用高速多重極表面電荷法を開発し、NICT Taro(日本人健常成人男性全身モデル;体組織部分800万ボクセル;ボクセルサイズ2mm)モデル、ならびに(1)で作成した日本人健常成人男性簡易頭部ボクセルモデル(体組織部分400万ボクセル;ボクセルサイズ1mm)を用いた数値計算の実施に成功した。また、球形導体内誘導電界について外部磁気ダイポール誘導場の汎用解析法を整備し、さらに単一導体のケースでは解析式も導出し、数値計算精度の精密評価を可能とした。 (3)fMRI-MEG統合解析法:本学再生医科学研究所所有の1.5T MRI装置(Simens社製)によるfMRI解析結果を脳内賦活部位の拘束条件として使用して、本学大学院医学研究科附属高次脳機能研究センター所有の306チャネル脳磁界計測(MEG)システム(Neuromag社製)によるMEGデータの統合解析に着手した。今年度は、脳神経活動分布の時間変化を可視表現することを重点目標とし、この観点より逆計算処理を緩和した内積計算処理のみで、複数近接皮質活動を分離して動的イメージングすることに成功した。現状ではMEG出力の理論値算出にサーバスの式を使用しているが、引き続き(1),(2)で述べた手法を適用し、解析法の信頼性を向上させてゆく予定である。
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