研究概要 |
材料システムの外面的な変化が進む前の材料の構造変化を新たに開発した磁気センサによりモニタリングし,材料の欠陥発生を予見する新しいモニタリング技術の開発をおこなった.材料を一定の周期で磁化し局所的な磁性の変化の入出力を開発した磁気プローブにより記録,逆問題解析シミュレータの結果を参照しながら,劣化レベルの特性を評価するシステムを構築する新しい非破壊評価法の研究を以下の手順で実施した. (1)磁気プローブによる磁性材料の磁気特性の評価をおこなった.S490材に機械的疲労試験を実施し,もとの試験材とのマイナーループ磁気特性を比較することにより,材料劣化評価の有用性について調査・検討をおこなった.この結果にもとづき,検査システムのシミュレータを開発し,逆問題解析による劣化評価地図作成アルゴリズムの開発をおこなった.最後にシミュレーションによる計算実験および磁性材料への欠陥検知への応用に関する研究室実験をおこない,提案した評価手法の有用性について検証した. (2)材料劣化評価のための検査システムのプロトタイプを組み立て非破壊評価への適用実験をおこなった.この装置の基本的特性を評価するために,材料の形状変化に関する鋭敏性の評価をおこなった.材料の形状変化により磁路が異なることから,マイナーループの特性が場所によって異なってくる.このデータから逆問題解析によって,欠陥の長さ,幅など幾何学的の形状変化が推定できた. 以上の結果から、磁気特性の変化から材料の劣化事象を定量的に評価する逆問題解析手法を提案し,その適用可能性を示すことができた.これらの評価の信頼性を高めるために,材料劣化の検出性能向上のための最適な計測法の確立,およびマイナーループ測定と検査シミュレータによる磁気特性と材料劣化の関係データベースの構築をおこなっているところである。
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