研究概要 |
本研究の目的は、測定対象の電気及び超音波特性の同時測定を可能とする多機能型圧電素子により、同一空間内の電気及び超音波特性を測定することで対象の複数情報を同時にイメージングすることである。昨年度、圧電素子8個を用いた一面型イメージングシステムにおいては、スイッチングシステムを改良し,一定の成果を得た。多機能型圧電素子16個を用いた円筒型イメージングシステムに関しては、接続等の回路構成による電気特性の測定精度に問題はあるが、本システムを用いた電気及び超音波特性の測定の可能性を示すことができた。 本年度は、昨年度に確立したイメージングシステムの改善を図るとともに、多機能イメージングシステムの可能性について検討した。一面型イメージングシステムに関しては、高速化を視野に入れ、測定システムの改善を図った。具体的には、8チャンネルの同時AD変換ボードにより8チャンネル同時測定システムを確立するためにスイッチングシステム及び10信号の構成を改善した。実験として、比較的生体モデルに近い寒天を用い、電気及び超音波特性の8チャンネル同時測定を試みた。結果として、スイッチングシステム及び測定アルゴリズムは不十分であるが、提案イメージングシステムによる電気及び超音波特性の再構成の可能性を示した。多機能型圧電素子16個を用いた円筒型イメージングシステムに関しては、2チャンネルの同時AD変換ボードによる再構成システムを確立し、実際に、電気及び超音波特性の再構成を試みた。結果として、再構成アルゴリズム及び測定精度において課題は残るが、電気及超音波特性の再構成をしえた。 また、提案センサによる多機能イメージングの可能性を示すために、一対の提案センサによる電気及び超音波特性の測定から一様媒質中の1つの異種媒体の位置、大きさ及びその比誘電率の検出を試み、多機能センシング手法によるそれらの検出の可能性を示した。
|