研究概要 |
茸用光CTの基礎開発 茸類は大きな免疫賦活効果を発揮する活性化された糖の成分であるβ-Dグルカンや抗酸化物質やガン細胞をアポトーシス(自殺)に追い込む物質などの機能性成分を多く含む健康食品として、最近注目されているが、機能性物質の生成特性・濃度や生成部位についての科学的手法を駆使しての究明は大変遅れている。本研究では、機能性物質の生成特性・濃度や生成部位の特定手法の確立を目指す。まず17年度は、栽培現場でも活用できる計測手法になり得るとの想定の基に光CTによる機能物質の生成濃度特定機能の基礎検証を自作システムにより行なった。主な内容は、 (a)ヘテロダイン方式の茸用光CTの光学系の製作 (b)同上光CTイメージング用スキャン系の製作 (c)同上光CTイメージング用ディジタルデータ収集系と画像化システムの構築 (d)機能性模擬物質の付着・注入個所の特定手法の基礎検討 を行なった。 機能性物質生産のための茸の至適成育条件の究明 茸の至適成育条件(培地・温度・湿度・光など)について、科学的側面からの検討は大変遅れている。茸の成長の活性化と関係がある生体電位信号を指標とし、至適生育条件を工学的側面から検討し、光刺激条件(波長,輝度,照射方法など)との対応関係や形態形成との関係を調べ、栽培制御用の新しいタイプの光源装置を開発した。光質により、茸の成長制御の可能性を検証した。また、茸が発する自発性の生体電位信号をバイオセンサ出力として活用し、その信号により周辺の茸の光刺激環境を制御する至適栽培技術も検討した。さらに、培地内部(地下系)の菌糸の発達をMRI装置により非破壊的な撮影手法により把握する手法を確立した。これらの成果により、機能性物質の生成に最適な生育条件、即ち培地の調整・植菌方法など生育方法初期の最適過程を確立すると共に、機能性物質の生成特性を左右する菌糸の発達時期や収穫時期の推定までを可能になった。
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