研究概要 |
茸由来の機能性物質生成部位検知用光CTイメージングシステムの開発と検知分解能の検証 茸類は大きな免疫賦活効果を発揮する活性化された糖の成分であるβ-Dグルカンや抗酸化物質やガン細胞をアポトーシス(自殺)に追い込む物質などの機能性成分を多く含む健康食品として、最近注目されているが、機能性物質の生成特性・濃度や生成部位についての科学的手法を駆使しての究明は大変遅れている。本研究では、機能性物質の生成特性・濃度や生成部位の特定手法の確立を目指した。18年度は、17年度に構築した光CTイメージングシステムにより1mmサイズの機能性模擬物質を特定できる検知分解能を確認した。実際の茸での機能性物質の生成部位は、菌糸など地中茎部に不規則に分布することを確認した。また、機能性物質の抽出可能量は、子実体や菌糸を含む茸全体を至適生育条件の下で成育することにより増大することを明らかにした。 機能性物質生産のための茸の至適成育条件の究明 茸の至適成育条件(培地・温度・湿度・光など)について、科学的側面からの検討は大変遅れている。茸の成長の活性化と関係がある生体電位信号を指標とし、至適生育条件を工学的側面から検討し、光刺激条件(波長,輝度,照射方法など)との対応関係や形態形成との関係を調べ、栽培制御用の新しいタイプの光源装置を開発した。光質により、茸の成長制御の可能性を検証した。さらに、培地内部(地下茎、菌糸)の発達をMRI装置により非破壊的な撮影手法により把握する手法を確立した。これらの成果により、機能性物質の生成に最適な生育条件、即ち培地の調整・植菌方法など生育方法初期の最適過程を確立すると共に、機能性物質の生成特性を左右する菌糸の発達時期や収穫時期の推定までを可能になった。また、茸が発する自発性の生体電位信号をバイオセンサ出力として活用し、その信号により周辺の茸の光刺激環境を制御する至適栽培技術(Speaking Plant Approach手法による)を検討し、この方式による茸の生育制御用小規模模擬実験システムを構築し、その有効性を確認した。
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