研究概要 |
「音を聴くと,色が見える」という現象は「色聴(colored hearing)」と呼ばれており,心理学の分野で共感覚(synesthesia)の1つ,すなわち1つの感覚が本来独立であるはずの別の感覚を喚起する非常に興味深い現象として知られている.本研究では,色聴現象を客観的に計測するとともに,色聴のない一般人に対しても色聴を利用して調和の取れた映像音楽コンテンツを提供することを目的に,H18年度には以下の課題を実施した. 1.fMRIによる色聴現象の計測 前年度では,色聴保持者が音楽視聴時に色知覚領野V4/V8において脳活動が見られることを確認した.今年度はさらに詳細な分析を行った結果,V4,V8,およびV4vに囲まれた領域(V4連合領域)が賦活していることが新たに明らかとなった.さらに小脳付近での活動も確認された.これらから色聴が聴覚系と視覚系の直接的な相互作用により生じている可能性がさらに高まったと言える. (2)コンテンツ制作への応用 前年度では,CMに用いられる映像と音楽の関係を解析し,映像と音楽が企業のイメージに添って選ばれていることを定量的に示した.今年度はさらなる解析により,広告主によらない純粋に音楽と映像のみの関係において,フラット系(ヘ長調など)の音楽には鮮やかな色彩の映像が使用され,シャープ系の音楽(ト長調やニ長調)には落ち着いた色彩の映像が使われるなどの関係があることを明らかにした.
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