研究概要 |
ハイブリッドダイナミカルシステム(HDS)の高信頼設計に関する以下の研究を行った。 (1)流体化(fluidification)と区分的線形システムを用いた大規模システムの性能検証手法。大規模な情報システムの設計では,状態空間のサイズが非常に大きくなる状態空間爆発の問題が生じ,解析、検証を困難なものにしている。この問題を解決するブレークスルーとなり得る手法として,離散状態を連続状態により近似する流体化の方法がある。高信頼HDS設計により得られた研究成果を区分的線形システムで表現される流体化モデルに適用することで,大規模情報システムのスケーラブルな性能評価が可能になった。 (2)モデル予測制御問題に対する事前計算に基づく近似解法。HDSのモデル予測制御を用いた最適制御問題では,一般に混合整数計画問題を解く必要があるため,オンラインでの計算を事前計算により削減する工夫が必要になる。状態空間を離散抽象化し,目的関数値の最悪値を保証する近似計算手法についての研究を行った。近似解法では,最適制御問題を領域分割により得られたグラフ上の探索問題として扱うことで,計算の大部分をオフラインで行うことが可能になった。また,最適制御問題において,時相論理式で記述された論理的な制御仕様を考慮することが可能になった。
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