研究概要 |
飛行船は安全性が高く,空中静止が可能などのユニークな特徴をもつ.近年,その特徴を生かした様々なプロジェクトなどが進められており,飛行船を希望の位置にすばやく移動させ,静止させる自動制御技術が不可欠とされている.本研究の目的は,実用的な飛行船の自動航行制御システムを開発し,小型の無人飛行船を用いた実験により,有効性を実証することである. 本年度は,実用的な自動航行制御システムの開発に関する理論研究と実機実験による有効性の検証に関する実験研究を行った.まず,理論研究についての具体的な成果は以下の2点である. ・ロバスト安定性と風外乱抑制を同時に証する飛行船制御システムの設計:平成17年度の研究成果を応用し,飛行船の物理パラメータ(粘性係数など)に不確かさや時間変動があり,その範囲のみが既知であり,かつ飛行船に一定であるが未知の大きさの持続的な風が外乱として加わるという実用的な場合について考え,そのような風外乱を受けても,任意の希望の地点にすばやくかつスムーズに移動し静止できるコントローラの設計法を導出した.有効性をシミュレーションにより検証した. ・実用性向上のための制御システムの改良:上記の結果に加え,さらに実用性を高めるため,低ゲイン化を達成するコントローラの設計法を導出し,有効性をシミュレーションにより検証した. つぎに実験研究についての具体的な成果は以下である. ・実機飛行船による屋内飛行実験と制御性能の評価・検証:平成17年度に作成した実験用小型飛行船を改良し,上記の理論研究により得られた制御システムの性能評価・検証を行った.実験に際しては,風外乱も含めた屋外環境に近い状況の下で行い,実用的で信頼性の高い実験を実施し,提案法の有効性を実機実験により実証した.
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