研究課題
基盤研究(C)
本研究では、精度の高い新たな部分空間同定法を提案し、さらに、正準相関解析に基づく確率システムの平衡実現に関する研究とH無限大同定理論を融合して、雑音モデルに周波数制約を与えることができる新しい確率実現の理論を提案することである。過去3年間の研究成果は以下の通りである。1.部分空間法において用いられるLQ分解のL行列の列ベクトルが入出力データの一次結合によって生成されたものであるという、LQ・分解のシステム論的な意味を発見した。これによって、部分空間同定法の理解が非常に深まり、また新しいアルゴリズムの発見にも役立つ。2.直交分解を利用した閉ループ同定のアルゴリズムを新たに提案した。またこの方法がVan den Hof(1993、オランダ)によって発表された2段階法の部分空間法への拡張であることを示した。3.確率実現問題をヒルベルト空間における確率実現問題として定式化して、LQ分解による新しい実現理論を考案し、さらに確率部分空間同定アルゴリズムに対する新しい方法を提案した。さらに有限時間長のデータに基づく確率実現問題を考察して、平衡確率実現によって求められる状態空間モデルの安定性と最小位相性を新たに証明し、平衡確率実現がシステム論的にみて良好な性質をもつことを明らかにした。4.周波数データに基づく変数誤差(Errors-in-Variables)モデルの部分空間同定問題について考察し、部分空間法とJスペクトル分解に基づく同定アルゴリズムを提案した。また、出力の観測値が異常値を含む場合に対して、EMアルゴリズムと部分空間法を組合わせた新しい同定アルゴリズムを提案した。5.部分空間同定に関する書物を英文で発表した。DVDによる「部分空間同定入門」を学会からライブラリーとして刊行した。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件) 図書 (1件)
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