研究概要 |
本研究の目的は,制御対象の動特性に大きく影響する時変パラメータの実時間情報にあわせて制御器を変化させるゲインスケジューリング(以下GS)制御の特徴を最も有効に活かすために不可欠な「様々な局面,状況における可変制御のためのモデリング手法の開発」と,そのモデリングにもとづいた「非線形・時変制御対象の様々な情報をうまく活用した可変制御系構築手法の開発」であった. このための設計計算の根幹となる内点法の研究を行い,非常に重要な結果を得た.そこでは線形計画,半正定値計画を含む一般的な錐計画問題における計算複雑度が,その許容領域上の中心曲線と呼ばれる特徴的な曲線の曲率積分で陽に表せることを示した.この結果として,アルゴリズムを工夫すれば,現在主流となっているアルゴリズムの計算複雑度をより改善できる可能性のあることが示唆される.この結果は現在投稿中であるが,その主要結果をまとめた解説記事は[1]に掲載された. また,非一様なシステムモデリングの基礎研究としてTsallisエントロピーと呼ばれる量の最大化によるパラメータ推定に関する性質の検討を行ってきた.その成果の一部は[2]で公表したが,引き続き結果を用いて非線形拡散方程式の性質を論じてゆく予定である. [1]土谷,小原:数学セミナー,Vol.47,184-193(2008) [2]A. Ohara: Physics Letters A, Vol.370,184-193(2007)
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