研究概要 |
現在、CPUを高速化する手法として動作周波数を上げる方法が限界に達し、1個のCPUに複数のCPUコア(演算処理の中心)を搭載する方法(マルチコア)が今後2〜3年で主流となる。この技術を活用した並列計算をサポートするソフトウェアの整備が必須である。本研究では,マルチコア・プロセッサを活用する並列計算手法および高速ネットワークで接続された複数台のコンピュータを活用する分散処理手法を確立し,制御系の解析,設計,シミュレーションを効率的に実行できるCADシステムを開発することを目的とする。並列処理に伴うオーバーヘッドを見積もり、並列化する処理を決定するため、実際にシステムを構築し、並列化による効率を調べた。具体的に以下の内容を実施した。 1.マルチコア・プロセッサの性能を最大限に活用できるシステムの開発 (1)申請したマルチコア・プロセッサを搭載したコンピュータを申請したギガビット・スイッチングハブに接続し、マルチコア・プロセッサ計算機環境を構築した。 (2)シングルコア・プロセッサとマルチコア・プロセッサの処理能力等を比較し、マルチコア・プロセッサの能力を活用できる手法を検討した。 (3)マルチCPUを用いた並列化処理手法による高速化を発展させ、マルチコア・プロセッサを用いた並列処理に応用する方法を検討し、マルチスレッドによる手法が有効であることを確認した。 2.並列化手法を柔軟に選択できる並列計算手法の提案 (1)マルチスレッド等の並列化手法を柔軟に選択できる並列計算フレームワークを設計した。このフレームワークを用いると、複数台のコンピュータで用いる分散処理手法とマルチコア・プロセッサを搭載したコンピュータで用いる並列処理手法を柔軟に変更できる。 (2)シングルコア・プロセッサを搭載した複数台のコンピュータやシングルコア・プロセッサを複数個搭載したコンピュータによる並列処理とマルチコア・プロセッサを搭載したコンピュータによる並列処理で並列化手法を変更することで、プロセッサのアーキテクチャの移行期においても、コンピュータの性能をできるだけ活用できる方法を提案した。
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